1. 増大する米国独身女性の経済力
2. シリコンバレーのムーンショットは終わった?
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 第3回アメリカボウル大会のご案内
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1.増大する米国独身女性の経済力
独身でいるアメリカの女性の割合がかつてない高さにあり、それが米国経済にも影響を与えつつあることをワシントンポストが伝えている。
大手金融機関のウェルスファーゴが先週明らかにした2021年の統計として、52%の米国人女性が独身であるとのことで、国勢調査で国民の婚姻状況を調べ始めた1900年時点の7%からのデータで最高値となっている。 10年前との比較でも大幅に独身女性が大きく増えている主な要因は離婚ではなく、結婚を一度もしない女性の割合が20%も増えたことにあるという。
結婚をして家庭に入るというかつての価値観は、女性も手に職を持ってより高い収入を得ていく価値観に代わり、この米国での独身女性の増大を支えている。
昨年時点で、一度も結婚していない女性の収入は同じく一度も結婚していない男性の収入の92%、資産の71%の高さにある。
従い、この増大する独身女性の集団は米国において労働市場はもとより資産形成、消費市場において影響力を増大している。
ただ、気になるのはこの収入と資産の性差が過去15年間縮まっていないこと。
大学入学、卒業の数では米国人女性は男性の伸び率を上回っている。
また、独身女性のほうが独身男性よりも住宅所有の傾向が強い。2021年で言えば独身男性は800万が住宅を取得したのに対し、独身女性は11百万人もが取得している。
また、独身女性の方が男性よりも親と同居せずに独立して世帯を構えている傾向が強く、アメリカの全世帯に占める割合も26%となっている。
アメリカの女性の平均初婚年齢は2001年に25歳であったものが2021年は28歳となっている。
アメリカの独身女性の年間平均支出額は39,000ドルで独身男性の41,000ドルを下回るが、男性が娯楽や旅行、外食により多く支出するのに対し、女性は住宅やヘルスケア、教育といった基盤的なものに費消している。
ただし、シングルマザーとなるとかなり厳しい状況を示している。
アメリカのシングルマザーの純資産は2019年で7,000ドルと、子供のいない独身女性の65,000ドルに比べ著しく少ない。
それが男性の場合であると子供の有無の差はわずか2,000ドルに留まっている。
このあたりに米国であっても未だ性差の問題が残っている。
最後に、夫婦世帯と、男女を問わない独身世帯の純資産の平均を比べると前者が後者の約4倍にあたるという。
シングルマザーの問題と、共働きのしやすさ、夫婦寄りの税制といったものがその差の要因にあるのであろう。
2.シリコンバレーのムーンショットは終わった?
今世紀に入ってシリコンバレーに登場し、急速に規模と業容を拡大してきたGAFAとよばれるテックカンパニーの中で、アップルを除くグーグル、フェイスブック及びアマゾンが大幅な人員削減に入っており、事業撤退も目立っている。
その様子を“シリコンバレーのムーンショット(大物狙い)の時代は終わった”というタイトルでワシントンポストが紹介している。
グーグルは8年前に儲け頭の広告事業以外の新規事業を分社化し、アルファベットというホールディングカンパニーを設けて広告事業以外の新規事業の立ち上げに傾注してきた。
が、自動走行車事業のWaymoもヘルスケア事業のVerilyもテークオフできず、Waymoは先週大幅な人員削減を発表した。
今年1月に人員削減を行っており、そこから2カ月もたたずに8%の社員を減らすという。 事業の伸び悩みの状況を象徴するように、テックカンパニーの株価は昨年一年間下がり続け、それがテックカンパニーの経営陣に人員削減と経費削減を促す構図となっている。
大学の学生寮や家のガレージの中から生まれた今のテックカンパニーが20年を経てもテックカンパニーであり続けるために従来の大企業と異なるリスキーで突飛なアイデアにヒトモノカネを投資し続けてきたが、株式上場したことにより一般投資家の批判の目にさらされるという学生時代とは異なる環境に置かれているということであろう。
それでもカネにモノを言わせて斬新なアイデアのスタートアップを買収し、傘下に収めることを行い、グーグルのアンドロイドOSやフェイスブックのモバイル広告事業、アマゾンのオーディオブックの成功は買収から来ている。 ただ、買収が行き過ぎて司法省から訴追を受けることもあった。
一方、アマゾンは社内の新規事業孵化チームを解散し、スタートアップ買収の方に舵を切っている。
グーグルもアマゾンも創業者が引退しており、今のトップが現実的な経営をしているとも見られている。
ドローンを使って発注から60分以内に配送するというアマゾンの画期的なプロジェクトは規制の壁にぶつかってテークオフできていない。
大企業になると様々な法的規制も生じ、組織運営のための官僚機構も生じ、スタートアップの文化の良さを発揮しにくくなるところにジレンマがあるようである。
前回のニュースレターでお伝えしたChatGPTというAIに基づくコミュニケーション・情報サービスを生んだOpenAIにマイクロソフトは数千億円もの資金を投資し同社の検索エンジンのBingのチャボットに活用している。
グーグルもフェイスブックも独自のAI技術に投資し、挽回を図ろうとしている。
創業者がトップであり続けているフェイスブック(親会社はメタ)はザッカバーグCEOのトップダウンでメタバースを次の事業の中心に据えようとしている。
創業精神を残しつつ大企業としての新たなステージに向けて大きな壁を乗り越えようとしているようである。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国・台湾
l 外国人観光客呼び込みを図る台湾
台湾政府・交通部は、新型コロナウイルス後の経済振興に関する特別条例に盛り込まれた外国人観光客の呼び込み加速・拡大の項目に関する誘致促進計画を報告した。
これによると、日本を含む主力市場を対象に、個人旅行客には5,000ニュー台湾ドルの消費金を提供し、団体客を呼び込んだ旅行会社には最大2万ニュー台湾ドルの奨励金を給付するなどの具体策が盛り込まれている。
尚、今年の訪台客数は600万人、来年は1,200万人を目指すとしている。
l 遺伝子組み換え品種の導入を進める中国
中国政府・農業農村省は、今年の農業振興に向けた意見を発表した中、大豆やトウモロコシの生産拡大に力を入れる方針であり、更にこられの農作物について遺伝子組み換え品種の導入を一層進めるという方針を示した。
中国政府が発表した今年の「1号文件」(同年の重要な政策課題を記した新年最初の文書)で、農業の発展を促す方針を表明しており、その力の入れようが窺い知れる。
l 米国のTikTok規制に反発する中国政府
米国政府は、全ての米国政府・連邦機関に対して、中国が所有するビデオ共有アプリケーション企業であるTikTokを、政府発行のデバイスから30日以内に削除するよう命じている。
米国では、TikTokを介した中国へのデータ漏洩の可能性に対する懸念が高まっていることからの措置とみられる。
今般、発行された命令は、米国・連邦政府のデバイスでのアプリを禁止する法律が昨年12月に米国議会で可決されたことを受けてのものである。
米国政府は、この禁止はアプリがもたらすリスクに対処する為の重要な政策であるともコメントしている。
また、米国のみならず、カナダも同様の措置を示した。
更に、ヨーロッパでもTikTokへの警戒が広がっており、欧州委員会は、EU政府の業務用デバイスでの中国本土製アプリの使用に対して同様の禁止を課している。
これに対して、中国政府は当然に反発、「企業に不当な圧力を掛けるのはやめよ」と批判、
「米国が国家安全保障概念を一般化し、国家の力を乱用して他国の企業に不当な圧力をかけることに反対する。
米国政府は市場経済と公平な競争の原則を尊重しなければならない。
各国企業の米国投資経営に開放的かつ公平で非差別的な環境を提供すべきである」と強調している。
(2) 韓国/北朝鮮
l 訪韓客大幅増大中
韓国観光公社が発表した統計によると、本年1月の訪韓客は43万4,429人で、前年同月の8万1,851人に比べて430.8%増加している。
国・地域別に見ると、日本が6万6,900人で最も多く、続いて台湾4万9,477人、米国4万9,120人、香港2万6,777人、タイ2万5,823人となっている。
特に香港と台湾が前年同月に比べて大きく増加している。
l ファブレススタートアップ企業がユニコーン化成功
韓国ではこれまで不毛の地とされたファブレス(半導体設計)分野に於いて、「ユニコーン(企業価値1兆ウォン以上スタートアップ)」が誕生したと見られている。
半導体ファブレススタートアップ企業である「パドゥ」が、「1兆800億ウォンの企業価値でフリーIPO(上場前持分投資)を終えた」と発表している。
パドゥは予定より20%多い120億ウォン規模の新規投資を誘致し、ユニコーン企業となった。
2月基準のパドゥの累積投資額は約1,500億ウォンとなっている。
韓国はメモリ半導体分野で最大の強国だが、世界のファブレス分野では1%シェアに留まっている国であり、グローバル景気低迷でスタートアップへの投資が凍結した状況にあって、国内のファブレスユニコーンが誕生したのは、それだけ技術力が認められた証拠であると韓国では高い評価を受けている。
尚、昨年末基準で国内ユニコーン企業は22社となっている。
l LCCのエアロKがジェンダーレス制服導入
韓国の格安航空会社(LCC)である「エアロK(Aero K)」が男女の区別をなくした「ジェンダーレス(genderless)」な制服が注目されている。
米紙であるウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などは、最近、ジェンダーレスな制服を導入する航空会社が増えているとし、
「乗務員の制服は歴史的に非常にジェンダー化されてきた。
多様な性的アイデンティティーに対する議論が浮上し、服装規定を変更する航空会社が増えている」とエアロKも参考としながら、報じている。
[主要経済指標]
1. 対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/1,303.75(前週対比+11.93)
台湾:1米ドル/30.54ニュー台湾ドル(前週対比+0.10)
日本:1米ドル/136.04円(前週対比+0.25)
中国本土:1米ドル/6.8695人民元(前週対比+0.0835)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,412.85(前週対比-10.76)
台湾(台北加権指数):15,598.49(前週対比+94.70)
日本(日経平均指数):27,516.53(前週対比+63.05)
中国本土(上海B):3,312.348(前週対比+45.188)
4.第3回アメリカボウル大会のご案内
今年10月28日(土)に港区赤坂区民センターにて日米協会主催のアメリカボウル大会が開催されます。
アメリカや日米関係についての高校生クイズ大会で、今回で3回目となります。
上位3校はなんと一週間ワシントンD.C.に訪問招待されるようです。
是非皆様のご家族や親類、知人、ご近所の高校生に添付の案内状を共有いただければ幸いです。