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日賑グローバルニュースレター第345号

1.それなりに進化していたトランプと、自分を出し切れなかったハリス

 

トランプ元大統領の返り咲き成功の要因についてはインフレや移民問題の有権者の痛みが追い風となったり、ハリス候補個人の人となりの有権者への浸透度が低かったなど、結果論としての分析が色々と取りざたされているが、ワシントンポストはトランプ陣営の関係者など数十人にインタビューし、2016年や2020年の過去2回の選挙戦に比べトランプ候補自身が多少なりと進化している点を勝因として取り上げた。 

以前の選挙戦であれば、トランプは自陣営のスタッフからのアドバイスでも自分の気にくわないものは一切採用しなかったが、今回は耳を傾け、採用したという。  

例えば、中絶問題ではトランプは、州だけでなく、全米でこれを禁止にする政策を以前から喧伝していたが、今回有権者の世論調査分析結果などに基づくスタッフの長時間のプレゼンの結果、スタッフが勧める「全米での中絶禁止政策に反対する立場」に合意し、その旨を語るビデオテープをPR用に撮影したという。 

また、トランプは期前投票や郵送投票では不正が起こりやすいとして反対の立場を取っていたが、これも実はそうした投票への柔軟性を示すことが自陣営に有利に働くとのスタッフの分析結果の説明を受け、最終的に態度を変更した。 

さらには、タフで愛国的で強いビジネスマンのイメージや、けんか腰で毒舌なエンターテイナーのイメージがトランプの岩盤支持層に訴求していることとは別に、“親しみやすさ”のイメージをスタッフがクリエイトすることも受け入れたという。

孫と共に写る好々爺のファミリーフォトを見せたり、メラニア夫人との間の長男で、18歳になったバロンのお勧めに従い、アメリカ人の若者に人気の高いポッドキャストに出演したりしてきたという。 (因みに前回大統領就任時には10歳で小さく可愛らしかったバロンは今や身長が約206cmと、この8年間で大きく成長していた)

また、地元のマクドナルドの店で店員として働いたり、ニューヨークのハーレムを訪れたり、バイデン大統領が「トランプ支持者こそごみだ」と語ると、ごみ収集業者のコスプレで登場したりと、親しみやすさのパフォーマンスが今回のキャンペーンでは目立った。 

日本のメディアを見ているとトランプのキャンペーンスピーチでの相変わらずの暴言や虚偽・誇張が報道され、2016年や2020年のキャンペーンと似たようなトランプのイメージが浮き彫りとなりやすいが、実際には中間層や激戦州の浮動票を取り込むための彼なりの“進化”を遂げていたのであろう。 

一方のハリス候補は、キャンペーンスピーチは別として、メディアを通じて有権者に訴求する際にも、そのメディアの番組の目的や主な視聴者を事前に尋ね、そこに沿う形で準備する姿勢が目立った。 

また、大統領候補の地位を自分に禅譲してくれたバイデン大統領に対する忠誠心が強く、バイデンとの違い、ハリスらしさを訴求できなかったという。

 

2. トランプ政権二期目の内政・外交の見通し

 

トランプ前大統領が来年1月に第47代米国合衆国大統領に就任した後の内政・外交についての予想をワシントンポストが行った。 

内政については論議を呼んだProject2025の内容の幾つかを実現に向かわせると見られる。 

Project 2025がかなり極端な保守政策を提唱していることから、世論調査でも人気はなく、トランプ自身は選挙戦においては民主党陣営からの攻撃をさけるべく、同プロジェクトから距離を置いていた

今般晴れて当選果たしたことからこの保守的政策のどこまでを実現しようとするかが注目される。

Project 2025の主要な政策は以下の通り: 

 

  1. 連邦政府職員の内の政治任用者の割合を増大させ、医療・健康、教育及び気候などの連邦政府の意思決定をトランプ大統領とホワイトハウスの意向に沿う形に首尾一貫させる。例えば医療関係費用からLGBTQ+のための予算を削除するなど。
  2. 教育省の予算の大幅カット。最終的には教育省そのものの廃止も視野に入れる。
  3. 司法省とFBIなどの法執行機関を大統領直轄下に置く。 政敵の調査、排除の権限を大統領が握る。
  4. アボーションピル(流産を誘発する薬)の制限等を通じた中絶の制限
  5. 新たな国境警備と移民庁の設置
  6. NOAA(米国大洋大気圏局)やEPA(環境庁)の気候変動関連組織の廃止と化石燃料開発推進
  7. 性転換者の軍属禁止と徴兵制の復活

 

外交について即座になされる施策は以下の通り。

 

  1. イスラエルへの支援の強化: イスラエルのイランやヒズボラ、ハマスなどとの戦いを支援することはあっても抑制はせず、並行してアブラハム合意の拡大を通じた中東和平を目指す。
  2. NATOの見直し: NATOの目的とミッションを根本的に見直し、離脱も視野に判断する。
  3. ウクライナ支援の見直し: ウクライナへの財政支援の見直し(ただ、ウクライナ側でもトランプ勝利を歓迎する向きもある。というのはバイデン政権がロシアを刺激することを恐れて武器の出し渋りがあったため)
  4. 独裁的指導者との関係再構築: トランプにとっての“敵”は”the enemy from within”と呼んだ民主党陣営であり、就任後はプーチン、習近平、金正恩などとの個人的関係を再構築する 。
  5. パリ協定からの再度離脱: 
  6. 輸入関税増: 中国からの輸入関税を最大60%増大させ、それ以外の全ての国からの輸入も10%乃至20%に増大させる。
  7. 不法移民の大量強制送還: 百万人単位の送還を州兵を使ってでも実現すると。また、メキシコが米国への不法移民の流れを抑えなければ同国からの輸入に25%乃至100%の関税をかけるという。 

 

とはえい、米国の外交にとって最大のメリットはトランプの“不確実性”であり、潜在的大国がトランプの判断の予想ができないことが米国の外交的国益に寄与することになるというのが大方の見方のようである。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国・台湾

l  減速気味の中国経済

10月に発表された中国の本年7~9月の実質GDP成長率は前年同期対比で4.6%増となり、4~6月より減速した。

最近、四半期毎に経済成長率は低下しており、中国経済の成長鈍化か見られていることは数字を見る限り明らかである。

特に内需の不振、国内消費が不調であり、例えば6月のネット通販のセールでも弱さが際立ち、回復傾向を示さないでいる。

10月の国慶節連休の人出はコロナ前を上回っている一方、弱い消費は続き、また海外渡航も増えていることから、中国経済の力強さ回復は今一つとなっている。

こうした国内消費の弱さの背景にあるのは、不動産の不振問題と所得の伸びの鈍化が主因とされている。

更に、可処分所得の伸びも鈍化、消費拡大が見られていない。

こうした状況下、将来に備えて、貯蓄の増加傾向も見られ消費を更に弱めているとの見方もある。

 

l  中国の有人宇宙船「神舟19号」打ち上げ成功

中国の有人宇宙船「神舟19号」が10月30日、中国北西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。

中国は今月、「地球外生命体の探索」などを盛り込んだ2050年までの宇宙計画を発表している。

今回搭乗する3人はこの計画に繋がる科学実験を手がけると説明されており、意欲的な宇宙開発を続けている。

 

l  中国の子育て支援政策

中国政府・国務院は10月28日、出産を奨励する為の支援策を発表している。

人口が世界第二位の国が更に人口を増やすと言う計画を示している。

人口減への危機感から、出産保険の充実、産休・育休制度の改善、子どもが多い家庭への住宅購入支援など幅広い内容を盛り込んでいる。

具体化するのはこれからとなっているが、結婚や子育てに後ろ向きな若者らの姿勢を変えるのは容易ではないと見られている。

 

(2)  韓国/北朝鮮                                  

l  日本に差をつける韓国の1人当りGDP

国際機関である国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しで、韓国の1人当たり国内総生産(GDP)が昨年に続き今年も日本と台湾を上回ると予測したと韓国では報じられている。

韓国銀行などによると、IMFは今年の韓国の1人当たりGDPが前年対比1.6%増の3万6,132米ドルになると見通した。

韓国の1人当たりGDPは2021年の3万7,518米ドルから2022年には3万4,822米ドルに減少したが、昨年、増加に再び転じた。

そして、今年の日本の1人当たりGDP予測は3万2,859米ドルと昨年対比で3.1%減少し、韓国との差が拡大する見込みであり、またライバル台湾は2.6%増の3万3,234米ドルとなり、台湾も日本を上回るとしている。

尚、来年は韓国と日本、台湾の差が今年よりは縮小すると予想している。

来年の1人当たりGDP予測は韓国が3万7,675米ドルで、日本(3万3,234ドル米)より2,064米ドル、台湾(3万2,859米ドル)より2,751米ドル多いと予測されている。

 

l  世界韓人大会で世界を見据える韓国企業

在外韓国人最大の経済団体である世界韓人貿易協会(World-OKTA)が韓国国家基幹ニュース通信社の連合ニュースと共催する、

「第28回世界韓人経済人大会」が10月28日、オーストリアのウィーンで開幕した。

11月1日まで、国内の中小企業の欧州進出サポートが主眼となっている。

World-OKTA、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)、中小企業中央会が共同主管し、在外同胞庁や産業通商資源部などが後援したとしている。

同大会が欧州で開かれるのは今回が初めてである。

今大会は世界46カ国・地域の89都市で活動する在外韓国人の最高経営責任者(CEO)や次世代の財界人ら約850人が参加した。

政府や地方自治体、国内企業、オーストリア政府関係者、海外経済団体まで含めると参加者は約3,000人が参加、また、京畿道のキム・ドンヨン知事、慶尚北道のイ・チョルウ知事なども参加した、

今大会のハイライトは、World-OKTAが欧州最大規模のイベントとして準備した「韓国商品博覧会」(2024コリア・ビジネス・エキスポ・ウィーン)となっている。

三星電子などの国内大企業や約300社の中小企業などが400のブースを設け、韓国企業の優れた技術力や製品をPRされ、美容や食品など欧州で好評を得ている分野の製品も紹介された。

会場の外では韓国の自動車分野の技術力をPRするため、水素で走る燃料電池トラックが公開されていた。

 

l  IMFによるソフトパワー指標で世界一となった韓国

ソフトパワーを客観的な数値で測定したところ、韓国がトップであったという、国際機関である国際通貨基金(IMF)の研究リポートが示された。

ソフトパワーとは国家の軍事力、経済力、資源などの物理的強制力を指すハードパワーとは対極の概念で、文化・知識などに基づく影響力を指すとされている。

これまで通常は米国がトップであった。

IMFが今般公表した研究リポートである、「ソフトパワー測定、新しいグローバルインデックス」の分析結果によると、2021年時点で韓国のソフトパワー指数は1.68で最も高くなっている。

以下、日本(1.25)、ドイツ(1.18)、中国本土(1.17)などが続き、米国はイタリア、フランスに次いで7位となった。

報告書は既存のソフトパワー順位測定法が主観的だとし、客観的指標で透明に測定する為の指数を開発する目的で研究を進めたと説明している。

報告書は66カ国について、2007年から2021年までの期間を対象に調査したが、商業性、文化、デジタル、教育、世界的影響力、制度など6つの主要項目を29の下位指標で数値化している。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,373.28(前週対比-65.11)

台湾:1米ドル/31.80ニュー台湾ドル(前週対比+0.27)

日本:1米ドル/151.84(前週対比+0.21)

中国本土:1米ドル/7.1194人民元(前週対比-0.0030)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,542.36(前週対比-38.67)

台湾(台北加権指数):22,780.08(前週対比-412.44)

日本(日経平均指数):38,053.67(前週対比-89.62)

中国本土(上海B):3,272.014(前週対比-30.789) 

 

4.〈外国人材活躍応援フォーラム〉第3回セミナー「外国人材に自社で活躍してもらうためには~外国人選手を活躍させている川崎フロンターレから学ぼう~」

 

川崎市産業振興公社が今年1217日に川崎で開催する掲題セミナーに当方がファシリテーターとして登壇いたします。 

今回はサッカーの川崎フロンターレの関係者との議論を通じ外国人選手活用のダイバーシティマネジメントについて気づきを得ていくことがポイントです。 是非皆様にもご参加いただければ幸いです。 

イベントの詳細は下記リンクをご参照ください。

https://www.kawasaki-net.ne.jp/kobs/files/f_1730421200.pdf