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日賑グローバルニュースレター第347号

1.トランプの3選はあり得るか?

 

アメリカ合衆国憲法修正第22条は「いかなる人間も大統領職に2回を超えて選ばれることはない」と明記している。 

これはニューディール政策で有名なフランクリン・D・ルーズベルト大統領が1933年から4期連続(ただし4期目の途中で病死)で大統領を務めたことが様々な問題を提起したことから1951年に憲法修正がなされたもの。

今週日曜日にトランプ政権1期目のホワイトハウスのストラテジストで、現在MAGA (Make America Great Again)のポッドキャストのホストをしているスティーブ・バノンがニューヨークで行われた若手共和党員クラブの年次総会でスピーチし、「実のところ合衆国憲法には“consecutive(連続して)”という単語が入っていないので、多分トランプは2028年で3選を目指せるのではないでしょうか? 皆さんはトランプの3選をどう思いますか?」と語っている。

アメリカの憲法学者はみな、合衆国憲法をどう解釈してもトランプの3選は認められないと語る。 

当の本人は11月の大統領選勝利後に下院与党共和党のメンバーに冗談気味に「あなたがたが何かしてくれないなら、2028年に出馬することはない」と語ったという。

それ以外のスピーチの機会でも折々に3選を意識した発言があり、必ずしも冗談とは取れない心情が見え隠れしていた。

これらの発言を冗談と受け止めなかったのが民主党下院議員のDan Goldman(ニューヨーク州選出)で、修正第22条は連続しない2期を務める大統領にも適用されることを確認する決議法案を上程した。 

ただ、下院与党共和党がこの法案を取り上げることはないとみられている。

2期連続しないで大統領を2度務めたのはトランプ以外には過去にクリーブランド大統領のみとなっている。

憲法改正には、まずその発議に上下両院の3分の2の承認と全米50州中34州の知事の承認を得、批准には各州の議会の4分の3以上の同意を要するので、現在の米国の分裂状況の政治情勢においては極めて非現実的である。 

前述の憲法条文の解釈へのチャレンジはもとより、抜け道として2028年には一旦副大統領として参戦し、実質大統領として差配するなどの奇策まで取りざたする向きもある。 

最終的に最高裁の判断となれば、トランプが1期目に選んだ保守派判事が3名加わって63となっている状況から自らに有利な判断が下されるとの期待もトランプ支持者にはある。 

それにしてもまだ2期目の就任前の段階からなんとお騒がせな次期大統領であろうか。

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2. 高騰するアメリカの住宅損害保険料

 

山火事や洪水、ハリケーンなどによる住宅被害という米国での気候変動リスクの顕在化に伴う住宅損害保険の高騰の様子をワシントンポストが報じた。

暴風雨や竜巻、ハリケーン、洪水、干ばつ、山火事および穀物の冷害など自然災害による被害は、年ごとに見れば凹凸はあるが、トレンドとしては右肩上がりであり、被害総額が10億ドルを超える災害の数は、2010年では7件であったものが、2023年には28件となり、損害額は948億ドルにのぼった。 

その結果、住宅などの損害保険料は2020年以降30%以上増えている。 

カリフォルニア州のトップ12の保険会社のうち7社はこの2年間で保険の対象とする損害範囲を縮小しているため、一般の住宅オーナーにとってはリーズナブルな保険料は公的機関のもののみという地域もあるという。

また、従来は標準的損害賠償保険で全ての災害リスクがカバーできていたが、今や保険会社の方が保険対象災害を削り、それをカバーすることを望む顧客には別途保険契約を追加で交わすという。

或いは補償内容を変えることでプレミアム(保険料)を抑える商品も出ている。 

即ち、原状復帰を担保するものの、まさにその時点の減価償却後の原状分のみ支払われたり、同じ家の構造でも、その時に入手可能な安い素材を対象とする補償など。 

この記事で紹介されていた中流層のカップルは、当初賃貸で済んでいたカリフォルニア州サンタクルーズでは不動産価格が高騰してマイホームが購入できないので、海岸沿いから離れ、同州の内陸のネバダ州との州境にあるタホ湖の近くに住居を構えた。 

2017年にこのカップルは住宅損害保険で1,100ドル支払ったが、その後、大規模な森林火災が周辺で多発し、民間の保険会社が保険提供を拒否、やむなく州の公的な保険と、それに不足するカバレッジを民間で補填した結果、今年の保険料は6,000ドルとなったという。 

また、洪水被害についても、2014年から2018年の間の補償請求の4割は連邦緊急事態管理庁(FEMA)が洪水のハイリスク地域と定めたエリアの外でなされているという予想外の被害も保険会社泣かせのようである。 

日本でも今年ハザードマップのハイリスクエリアの外の地域で洪水被害が見られたが、気候変動の影響は直接はもとより保険料と言う形で間接的にもわれわれの生活に影響を与えつつある。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国・台湾

l  二重課税排除の協定に向けて動く米国と台湾

米国と台湾は、両国の二重課税問題を解決する為の包括的な協定を交渉する予定であり、在台湾米国商工会議所はこれを高く評価している。

在台湾米国商工会議所のパトリック・P・リン最高経営責任者(CEO)は、「この交渉の開始に私たちは深く勇気づけられ、イノベーションと経済成長を促進する投資を楽しみにしている」

と述べている。

 

l  台湾の国際的地位を復活させようとする頼総統

頼総統が積極的な外交姿勢を示す中、台湾国内では、台湾と外交関係がある国が、中国による断交工作によって12か国に減っている点、かなり深刻な事態として受け止められている。

国連追放時は56カ国であった国交関係があった国も減少の一途を辿り、日本や米国も1972年と1979年にそれぞれ断交した後は減少の一途を辿った。

外交関係が途絶えれば、大使館など出先機関は閉鎖し、公用車と動産も売却する。

台湾政府・外交部によると太平洋 島嶼国のナウルと1月に断交した際は外交官の引き揚げまでに時間がなく、僅か1日で機密文書を処分したとされている。

台湾はアジア太平洋経済協力会議(APEC)や世界貿易機関(WTO)など45の国際組織に加盟しているものの、国連や世界保健機関(WHO)、民間機の定期運航や国際基準などを定める国際民間航空機関(ICAO)には未加盟となっている。

頼清徳総統は、「台湾は国際組織から排除されるべきではない」と訴えるが、外交関係を持つ国が減れば国連の一般討論演説などで台湾の参加に支持を表明する声が少なくなる。

 

l  台湾のサプライチェーンにアプローチするエアバス

台湾は防衛産業も含めて、リスクヘッジもあり、米国のみならず、欧州勢とのコンタクトポイントをしっかりと持っている国である。

こうした中、エアバスの旅客機事業のマーケティングディレクターであるアントニオ・ダ・コスタ氏は台湾企業に対して、

「航空機メーカーもサプライチェーンの混乱に直面し、主要サプライヤーにエンジニアを派遣してサプライヤーの部品供給品質プロファイルを把握出来るようにしている」

とコメント、新しい航空機の納入をより迅速にしたいとの意向を示し、半導体産業の強い台湾に対してメッセージを発信している。

 

(2)  韓国/北朝鮮                                  

l  ユン・ソクヨル大統領の非常戒厳宣言後の経済見通し

韓国政府・企画財政部は、国際機関であるアジア開発銀行(ADB)が発表した最新の経済見通しで、「韓国の2025年の経済成長率を2.0%と予測した。

9月に発表した見通しから0.3ポイント引き下げたが、ユン・ソクヨル大統領の非常戒厳宣言による経済への衝撃を考慮するとむしろ楽観論に近い」との見方も出ている。

ADBの予測は経済協力開発機構(OECD、2.1%)、韓国政府(2.2%)を下回り、国際通貨基金(IMF)の予想と並んでいる。

2024年の経済成長率も9月の予測から0.3ポイント引き下げ、2.2%としている。

アジア太平洋地域(日本など除く)の2025年の経済成長率見通しは4.8%、2024年は4.9%で、いずれも9月の予測から0.1ポイント引き下げられた。

また、韓国の2025年の物価上昇率予測は2.0%で据え置かれている。

2024年は0.2ポイント引き下げ、2.3%となっている。

原油価格下落、食料品価格の上昇鈍化などで物価安定が進むと判断されたものである。

また、国際機関である経済協力開発機構(OECD)は、

「OECD加盟国の中で韓国は10位となった」と発表している。

OECD加盟国37カ国を対象に、昨年末から最近までの国内総生産(GDP)、株式市場、コア・インフレ率、失業率、政府債務の5分野を評価して点数化し、順位を付けたものによる評価である。

韓国の昨年の順位は2位であった。

当該集計によると、韓国はGDP成長率1.6%、株価上昇率0.3%、コア・インフレ率1.9%、失業率0.5ポイント低下、財政収支(対GDP比) 0.6ポイント低下で、総合順位10位となった。

但し、これには昨今の政局混乱は反映されておらず、その一方で、「先制的な金利引き上げによって物価上昇を抑制した」との見方も出ている点は付記しておきたい。

 

l  統合手続きが完了した大韓航空とアシアナ航空

韓国航空業界トップの大韓航空は12月11日、同2位のアシアナ航空が発行する新株1億3,157万8,947株の購入代金を納入したと発表している。

これにより、2020年11月に始まった両社の統合手続きは、約4年1カ月で完了することとなった。

購入金額は1兆5,000億ウォン、大韓航空は2020年12月に契約保証金3,000億ウォン、2021年3月に中途金4,000億ウォンを支払っており、この日納入した金額は8,000億ウォン程度と見られている。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,434.03(前週対比-11.12)

台湾:1米ドル/32.50ニュー台湾ドル(前週対比-0.11)

日本:1米ドル/153.72(前週対比-3.73)

中国本土:1米ドル/7.2756人民元(前週対比-0.0056)

 

2.       株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,494.46(前週対比+66.30)

台湾(台北加権指数):23,020.48(前週対比-172.79)

日本(日経平均指数):39,470.44(前週対比+379.27)

中国本土(上海B):3,391.878(前週対比-12.198)