ニュースレター国内版 2022年・夏(301号)
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第301号)
1. 次期大統領選予備選・党員集会の日取りをめぐってのいくつかの州の思惑
2. パンデミック後とインフレ下のアメリカのブラックフライデー&サイバーマンデー
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 中東フリーランサー報告16
-------------------------------------------------------------------
1.次期大統領選予備選・党員集会の日取りをめぐってのいくつかの州の思惑
アメリカの大統領予備選挙・党員集会は、本選がある年の新年の早い時期にアイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選挙が行われ、3月の上旬にスーパーチューズデーと呼ばれる専ら南部の多くの州の予備選が同時に行われることで各党の候補者の絞り込みがなされるという流れが典型的である。次回2024年の大統領選の民主党の予備選・党員集会の日程を決める同党のRules and Bylaws委員会が12月1日から3日にかけてワシントンDCにて開催されるが、従来の典型的な日程を大幅に変更してプレゼンスを高めようとする幾つかの州の動きについてワシントンポストが記事にしている。まず、ネバダ州が予備選のトップバッターのニューハンプシャー州と同時に予備選を行う希望を表明している。
次に、ミシガン州とミネソタ州がアイオワ州の党員集会の代わりに早い予備選開催を求めている。ニューハンプシャー州の州法では、同州の予備選はいかなる他州のそれよりも7日先に行うことを求めている。同州のスヌヌ知事(共和党)は「バイデン民主党が州法に反してそのような変更を行えば、ニューハンプシャー州の4議席を失うであろう」と反対し、民主党の動きをけん制している。 スヌヌ知事は共和党大統領候補への野心を秘めていると言われ、選挙戦術上、トップバッターの州で確実に勝利できる優位性を担保しておきたいのかもしれない。因みにバイデン大統領は2020年の選挙ではバイデンは同州では勝利している(選挙人数は4人)がアイオワ州(選挙人6人)では敗れ、その前の予備選でもブティジェジ運輸長官やサンダース上院議員に敗れていた。
一方、今回の中間選挙で上院議員はもとより知事、そして州議会の与党も民主党が独占したミシガン州とミネソタ州の民主党幹部もその勢いを背景に、予備選投票日をスーパーチューズデーに繰上げ、大統領候補者の絞り込みにおける地位の向上を図ろうとしている。この予備選・党員集会のスケジュールの最終決定権は民主党のトップであるバイデン大統領にあるが、来年早々に再選出馬を決めるとするならば、前回大統領選では勝利したニューハンプシャー州と、敗退したアイオワ州のスケジュールを最終的にどう判断するのか注目される。
2.パンデミック後とインフレ下のアメリカのブラックフライデー&サイバーマンデー
去る25日金曜日から今週月曜日にかけては、アメリカの個人消費が最も動くブラックフライデーからサイバーマンデーまでのホリデーギフトショッピングウィークであった。小売店のそれまでの帳簿が赤字でも、その日一日で黒字転換すると期待できることからブラックフライデーと名付けられ、オンラインショッピングが日常となってからは、休み明けの最初の出勤日の月曜の半日をオンラインで買い忘れたもののショッピングに充てるのがサイバーマンデーである。大きなディスカウントが期待されることからサンクスギビングの七面鳥料理とデザートを家族で楽しんだ木曜日の夜中から家族でショッピングモールに繰り出し、グッドディールを探し回るわけである。パンデミック後のこのサンクスギビングホリデーショッピングの様子をワシントンポストが報じていた。今年の特徴として、パンデミックから解放され、人との触れ合いを求める買い物客がモールに戻ってきたものの、例年ほどの混雑ではないという。
また、10人に6人はTikTokやインスタグラムなどのSNSを通じ購入するもののインスピレーションやアイデアを得ているという。結果としてオンラインショッピングの方は引き続き好調な状況のようで、通常のオンラインショッピングの一日当たりの売上が20~30億ドルであるのに対し、サンクスギビングホリデーは52.9億ドルとなっている。この売り上げは昨年比2.9%となっており、それまでの10%~14%の上昇率に比べると抑制されていたという。インフレ圧力や景気後退懸念が消費者心理にマイナスに働いたのかもしれないが、それでもアメリカのGDPの3分の2を超える個人消費はいまだ健在との感はある。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国・台湾
l 金融面でも対話が期待される米台関係
米中覇権争いの激化の中で、米国は台湾を重視、重用する外交姿勢を示し始めている。
こうした中、台湾は米国との円滑な対話チャンネルを維持すべく、通商政策のみならず金融政策などの問題でも米国との協議を深めていく可能性を示唆している。
台湾中央銀行は、米国政府・財務省が半期ごとの外国為替政策報告書で台湾を「監視リスト」に留めたことを受けて、更に緊密な金融政策を取る可能性も示している。
台湾の対米貿易収支黒字は昨年、402億2,000万米ドルとなっており、本年1~9月も既に370億3,000万米ドルに上っていることから米国の台湾に対する不満は強まる危険性はある。
また、台湾の経常収支黒字の対国内総生産(GDP)対比の比率は本年6月までの4四半期を通じて14.7%となり、いずれも米国が設定した許容限度を上回っており、今回の米国の為替政策を注視する監視リストに台湾は残されている。
台湾中銀は、「将来にわたって、台湾と米国は相互の適切な意思疎通に基づいて経済見通し、金融政策といった様々な問題で対話を継続していくだろう」とコメントし、
「対話による関係維持、改善」を目指していきたいとしている。
l 中国の情報管理の強化とグーグルの中国撤収の動き
中国紙・北京青年報11月18日、中国本土でインターネット管理を担当する国家インターネット情報弁公室が、SNS運営事業者に対して、利用者の投稿内容の事前審査などを求める規定を公表したと報じ、更に情報管理を強める政策を示している。
また、こうした中、グーグルは、「ユーザーが少ない」との理由から、中国本土内の翻訳サービスの中断を宣言した。
グーグルは、中国本土当局が各種検索語を制限するなど過度に規制しているとして、2010年に一旦中国本土から撤退し、2017年に翻訳など一部サービスを再開、中国市場への再進出を狙ってきており、中国語翻訳ユーザーも5,000万人を超えて成果はさほど悪くはなかったが、それを止めると言うことは、「グーグルは中国本土市場を事実上放棄して撤収することを検討しているのではないか」との見方が出てきている。
尚、グーグルはサーバーハードウェアの一部生産基地を中国から台湾とマレーシアに移し、今年にはピクセルスマートフォンの生産を中国からインドに移す方針を検討しているなどと伝えられており、こうした動きからもグーグルの中国撤収の方針は堅いとの見方もある。
(2) 韓国/北朝鮮
l 韓国人の結婚観
韓国政府・統計庁は、韓国人の結婚観に関する調査を行ったが、結婚については、「必ずしなければならない」か、「するのが良い」と考える未婚男女は30%に過ぎないとの結果が示された。特に未婚女性の中では10人のうち2人程度に留まったと報告されている。
こうしたことから、「結婚は必須ではなく選択」と考える未婚が圧倒的に多いと見られている。更に、結婚したくないとする理由としては、「結婚資金が不足している」との理由が28.7%で最も多く、「雇用状態が不安定だった」は14.6%がその次の理由となっている。
l 海外旅行での日本人気の高さ
韓国の予約サイトであるインターパークは11月15日、本年10月の海外パッケージツアーの予約件数が前年同月対比399%、前月対比38%それぞれ増加したと発表している。
また、新型コロナウイルス感染拡大前となる2019年10月の92%の水準まで回復した。予約件数が最も多い旅行先はタイのバンコク、パタヤで全体の7.2%を占めベトナム・ニャチャン(6.6%)、福岡(6.5%)、ベトナム・ダナン(5.6%)なども人気となっている。なかでも福岡行きのパッケージツアーの予約件数は前年同月対比1,347%も増加し、前月対比でも181%増えている。
日本政府の新型コロナウイルスの水際対策緩和、円安などが影響したと見られている。
尚、同じく韓国の旅行会社である「黄色い風船」は11月16日、自社の海外旅行予約で、11月と12月の旅行先として日本と西欧が人気を集めているとコメントしている。
同社が10月のデータを分析したところ、11月に出発する商品の予約は、日本の九州(13.7%)、大阪(12.9%)の順に多く、また西欧(12.1%)、トルコ
(8.1%)と続いているとしている。
12月に出発する商品は西欧(14.3%)の予約が最も多く、続いて、北海道(12.7%)、トルコ(11.7%)、大阪(9.9%)、九州(9.4%)の順となっている。
日本は地域別に集計されているが、日本として全部集めれば一位となる。
12月は特に北海道旅行の予約増が目立っているとしており、「さっぽろ雪まつり」の知名度は韓国でも高いことなどの影響ではないかとも黄色い風船は分析、雪景色と冬のレジャーを楽しみに北海道に出掛ける人が多いと見ている。
11~12月は日本など近距離の旅行を予約する割合が全体の66%を占めた。
韓国は今年、11~12月に連休が無く、近場が好まれているようであるとも分析されている。
[主要経済指標]
1. 対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/1,336.41(前週対比-15.37)
台湾:1米ドル/31.14ニュー台湾ドル(前週対比+0.05)
日本:1米ドル/139.95円(前週対比-0.49)
中国本土:1米ドル/7.1212人民元(前週対比+0.0018)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,444.48(前週対比-38.68)
台湾(台北加権指数):14,504.99(前週対比+497.43)
日本(日経平均指数):27,899.77(前週対比-363.80)
中国本土(上海B):3,097.243(前週対比+9.950)
4.中東フリーランサー報告16
三井物産戦略研究所の大橋研究員から添付の報告書を頂きましたので皆様と共有させていただきます。こちらをクリックしてください。